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onshape物語

Onshape物語

これは、アリスが 仮想空間で Onshape を初めて経験する物語です。

ドキュメントの作成

アリスは、Onshape で作成したアカウントを使って 新しい部屋を借りました。
この部屋は ドキュメント101号室 と呼びます。
部屋は アリスが自由に使うことができるので、アリスは部屋の所有者です。

ドキュメント101号室には、作業机(ワークスペース)があります。 他には、壁に 履歴棚 があるくらいで 他には何もありません。

作業机の上は、PartStudio と アセンブリ という区切られた2個の領域(タブ)があります。
PartStudioには、原点(Origin) と Top,Front,Right という3個の平面が置いてあります。
アセンブリには、原点(Origin)だけがあります。

パーツの作成

アリスは、ドキュメント101号室で ”何か” を作りたいと思います。

まず、PartStudioで Top平面の上に 長方形1個を書いて スケッチを作りました。
スケッチが完成すると、その途端に 履歴棚 の一番下の Start の上に 履歴が1個作られました。これは 先程までの作業机(ワークスペース)の状態、つまり最初の作業机の状態を完全にコピーしたものです。

アリスは、3次元パーツ(部品)を作りたいと思いました。
そこで、この長方形スケッチから 押し出し(フィーチャー)という道具を使って直方体を作りました。 直方体が作られた直後に 履歴棚を確認すると、直前の状態が 下から2番目に履歴として積み上がっています。

おもしろくなったアリスは、直方体の側面に 1個の円のスケッチを作り、押し出し を使って穴をあけました。 このスケッチ と 押し出し の作業でも 履歴が1個ずつ増えていきます。

バージョンの作成

側面に穴のある直方体は 何かに使えそうな1個のパーツ(部品)です。

アリスは、パーツのこの状態に V1 という名前を付けました。
履歴棚の一番上の履歴に V1 という名前が付いています。名前が付いた履歴を バージョンと呼ばれます。

アリスは、V1 のパーツはよく出来ていると思いましたが、まだまだ改良の余地がありそうです。
続けて フィーチャーを使ってパーツを改造していき、改良版のバージョン V2 が出来あがりました。

アセンブリの作成

アリスは、作業机の アセンブリで 作業を始めました。

まず、PartStudioで作ったパーツを1個持ってきて、固定しました。つまり アセンブリに最初からある原点と パーツの位置関係が固定されたのです。

続いて、PartStudioから パーツをもう1個持ってきます。PartStudioで作ったパーツは、アセンブリで そのコピーを何個でも使うことができるのです。
2個目のパーツは位置を完全には固定せずに、最初のパーツとエッジが重なる状態で回転できるようにしました。

アセンブリでは、パーツを完全に固定したり、自由度を制限して動くようにすることができます。この作業は拘束と呼んでいます。

アリスは、2個の同じ形状パーツが くるくる回転する様子を見ることができるようになりました。

タブの作成

アリスは、3個のパーツを使って 回転させたいと思いました。

そこで新しい アセンブリの領域を作ります。
ここは仮想空間ですから、作業机の大きさは 必要なら いくらでも大きくなりますし、必要なら領域はいくつでも増やせます。

2番目のアセンブリ領域には、PartStudioからパーツを3個持ってきました。1個を固定し、2個はその周りを回転するようにしました。

さらに、もう1個 アセンブリ領域を作りました。
3番目のアセンブリでは、前に作った2個のアセンブリから パーツ2個を組み合わせたもの と パーツ3個を組み合わせたものを それぞれ持ってきました。
前に作った2個のアセンブリは、サブアセンブリと呼ばれます。

サブアセンブリから持ってきた組み合わせパーツも 拘束を使って位置を決めたり、動きの自由度を制御することができました。

図面の作成

アリスのいる仮想空間は、パーツやアセンブリを3次元のまま表現できますが、他の世界のためには紙の図面も必要です。

アリスは作業机に 図面(Drawing)の領域(タブ)を作成しました。

図面の領域には、1枚のシートが置かれています。
シートとは、1枚の紙図面のようなものです。用紙サイズと デフォルトの縮尺が決まっていて、図枠などがあって、 三角法とか 寸法フォントサイズとか 細かい決まりが定義されています。

図面には複数のシートを作ることができ、さらにシートの順序を入れ替えたりもできます。 複数のシートは、プリントアウトするとき 複数枚の紙図面となります。

アリスは、1枚目のシートには、PartStudioからパーツを持ってきて、1パーツの各方向から見た図を描きました。
2枚目以降は、それぞれのアセンブリの組み合わせ部品を描きました。

フィーチャーの変更

アリスは、図面を書いているときに パーツの穴の大きさを小さくする方が良いと思うようになりました。

図面を描き終えた後で、PartStudioに移って 穴の大きさを定義しているスケッチを編集し変更しました。 2次元の穴の大きさを変え終えた途端、パーツの穴の大きさが変わり、アセンブリも更新され、さらに 図面(Drawing)の寸法値も変更されました。

履歴棚を見ると、これまでの履歴が たくさんあります。
一番上には 穴を小さくする前の作業机の状態がおいてあります。これは、パーツと サブアセンブリと 全部を含めたアセンブリ、さらにそれらの図面を全部含んでいます。

リンク共有

ボブは、アリスが新しいモデルを作っていると聞いて、興味を持ちました。

Onshape では メールアドレスをアカウントとして使いますが、Onshape がユーザーのメールアドレスを 他人に知らせることはありません。フォーラムは、ニックネームが表示で議論をしますが、そのニックネームを使ってメールアドレスをお互いに知らない参加者同士が 連絡を取ることもできます。

ボブから 何を作っているのか教えて欲しいと連絡をもらったアリスは、ボブにも知ってもらいたいを思いました。

アリスの ドキュメント101号室は、鍵があるので誰も入れません。しかし、リンク共有の設定をすると リンクというアドレス(https://cad.onshape.com/documents/ ...) を知っている人だけが部屋の中を見ることができます。

アリスは ドキュメント101号室の 共有ボタンを押して、リンクのアドレスをコピーしました。
そして、ボブにこれを送りました。

ボブは このリンクのアドレスを使って、アリスの作ったもの、パーツも アセンブリも 図面も見ることが出来ました。 このとき、ボブは まだ Onshape のアカウントを持っていませんでしたが、パソコンでも スマートフォンアプリでも見ることができたのです。

ボブは、友人のキャロルのところに行き、リンクのアドレスを見てもらおうとしました。
キャロルは ボブに
「アリスは、ボブが他の人にリンクを教えても良いと言ったの?」
と聞きます。

キャロルが言うには、リンク共有は、アドレスを知っている人は誰でも見ることができるのです。 だから、アリスの知らない人にアドレスを教えてしまうと、多くの人に見られてしまう危険があるのです。

ボブは、アリスの許可なしに キャロルにリンクを教えるのはやめることにしました。

フリープラン

キャロルは Onshape のフリープランのアカウントを持っていました。だから 詳しかったのです。 ボブは、キャロルに Onshape のアカウントについて教えてもらいました。

フリープランは、無料なのに 部屋(ドキュメント)を借り 作業机(ワークスペース)の上で作業ができて、しかも 有料と同じ作業ができるのです。

違いは、キャロルの ドキュメント 301号室 は ガラス張りのような部屋だということです。
鍵があって 他の人が侵入して盗んだり 壊したりできませんが、部屋の中は作業机も履歴棚も全部丸見えで、誰でもコピーを作って同じ作業を自分の作業机(ワークスペース)ですることができるのです。

アリスの部屋は、リンクを知らないと その場所も分かりませんし、その存在自体も知られることがないのに対し、キャロルの ドキュメント 301号室は、Onshape で検索すれば見つかるし、遠くの国の見知らぬ人が通りすがりに見ていくこともあるのです。こういう部屋を パブリックドキュメントと言い フリープランの所有するのはすべてパブリックドキュメントになるそうです。

キャロルは、作業の内容を公開しても良い仕事をしていました。むしろ多くの人に見てもらえることは良いことだったのです。

ワークスペースのコピー

ボブは アカウントを取得することにしました。

Onshape には 幾つかのプランがあります。
キャロルのようなフリープランでは、アリスと一緒に仕事ができません。
会社など複数の人が属する場合、共有のアクセスや 管理の場合 Standard より Professional か Enterprise を使うべきだそうです。
ボブは、一人で仕事をするので プライベートな部屋(ドキュメント)を 持てる一番 Standard プランにしました。

Standard カウントを取得して、アリスのリンクを見てみると、ほとんど同じように見ることはできますが、それ以上は何もできません。

ボブは、アリスに連絡しました。 アリスは、
「リンク共有は、閲覧しかできないのよ。コピーまでできる個人共有に変更するね。」 と言ってくれました。

アリスは、個人共有(表示可能)とし コピー と リンク(挿入) にチェックを入れ ボブのID(メールアドレス)を設定しました。そしてリンク共有は使わないので、削除しました。
注意: リンク共有 と リンク(挿入)では リンク の意味が違います。。個人共有のリンク(挿入)については、リンク(派生、挿入)で使うことになります。

これでボブは、以前にもらったリンクのアドレスで アリスの部屋を見ることができ、
以前にはなかった「ワークスペースのコピー」というボタンがあったので、それを押しました。

ボブは、新しい自分の部屋 ドキュメント 201号室にいます。
アリスの部屋と同じように、作業机(ワークスペース)があります。作業机の上は全く同じです。
作業机(ワークスペース)は、上に置いてあるものすべてが アリスの作業机のコピーです。
アリスの部屋と違うのは、履歴棚が空になっていること、ボブ自身が部屋の鍵を持っていることです。

ボブは、アリスからコピーしたパーツやアセンブリに ボブ独自の変更を加えて、新しい作品を作り始めました。

ボブが standard アカウントを取得後に アリスは共有を設定したことに注意。
もし、ボブが フリープランで パブリックドキュメントとしてコピーしたなら、
アリスの仕事は 公開されてしまいます。

バージョンブランチ

ボブが 自分の部屋 201号室で作業を始めたころ、アリスも自分の部屋 101号室で別の作業を始めようとしていました。

アリスは ドキュメントのメニューで「ワークスペースのコピー」をクリックしました。
新しいドキュメント 102号室ができ、そこには 101号室の 作業机のコピーができています。これは、ボブの 201号室と同じ作業です。
アリスは、新しい 102号室で 101号室と似ているけど違うパーツを作ることにしました。

さらに、アリスは、101号室に戻って バージョンを作成してから 「ブランチワークスペースの作成」をしました。(これを バージョンブランチといいます)
101号室には、元の作業机(Main) と 同じものが載せてある作業机(B1)ができました。
B1 は、Main の状態が 履歴棚にバージョンとして保存され、それが復元されたものです。
作業机 B1 では、作業机(Main)のとなりで 非常によく似た別バージョンのパーツの作成が便利です。

アリスの 101号室に 作業机 (Main) と 作業机(B1)、
アリスの 102号室に 作業机(デフォルト名は Main ですが変更もできます)、
さらに ボブの 201号室に 作業机
合計4個の作業机ができました。どれも同じものが乗っています。

4個の作業机は、別々の作業ができます。
4個の作業机での作業の履歴は、それぞれ別々に履歴棚に格納されます。
作業ができる人や 作業やパーツを見ることができる人は、部屋ごとに設定できます。

仮想空間にある Onshape は、いくつでも作ることができる部屋(ドキュメント)に、 どこまでも広げられる作業机が、いくつでも作ることができるので、とても快適です。

名前の変更 と プロパティ

アリスの101号室には、作業机(B1)で 作業机(Main)があります。
2つの作業机には、よく似たパーツ と よく似たサブアセンブリと よく似た図面が置いてあります。アリスは、作業机(B1)でパーツを作りながら、ときどき 作業机(Main)に戻って確認したり、履歴棚にある古いバージョンを確認したりもします。

複数の過去のバージョンを見たり、別の作業机を参考にしながら作業するのは便利ですが、参考にするのが多すぎると混乱しそうです。

そこで、アリスは整理することにしました。

もう使わなくなりそうな 作業机「Main」は「使わない机」という名前に変えて、プロパティの説明の欄に使わなくなった理由を書いておきました。使わなくなったブランチは削除もできるので、そのうち完全削除することになるでしょう。
今後作業を続けていく 作業机「B1」を「Main」という名前に変えて、プロパティに今日の日付と 今後の方針をメモしておきました。

履歴棚も見直しました。
履歴棚の中身、つまり バージョンや 履歴は、過去に行ったことの記録ですから (プロパティの説明などを除いて)変更はできません。しかし 中身はいつでも確認でき、必要なら新しい作業机を用意して そこにコピーを広げることもできます。
見直しのときに 必要と思われる最小限の説明をプロパティに書き込みました。

これでアリスの 101号室は快適です。

リンク(派生、挿入)

アリスの 101号室 作業机(新)Main と ボブの 201号室の作業机は、同じバージョンからコピーして作りましたが、それぞれ作業を進めていたので 少し違うパーツができています。

アリスは、新しくパーツを作りました。
とても便利そうだったので、ボブは 「派生」を使って このパーツを使いたいと思いました。

ボブは アリスに新しいバージョンを作るよう依頼しました。
アリスは 101号室(Main)の履歴棚に、新しいパーツを含むバージョンを作りました。
ボブは このバージョンに含まれているアリスのパーツを「派生」させて、ボブの作業机の上 ボブの部屋の作業机で アリスのパーツを「派生」(作業机の部品のリンクを挿入すること)ができました。 101号室は、個人共有するとき リンク(挿入)にチェックを入れておいたことに注意してください。

リンクは、リンク元と リンク先の関係を維持する点が、コピーと異なります。
アリスの作業机では、PartStudio のパーツを変更すると、それを挿入(リンク)しているサブアセンブリは、すぐに更新されます。
ボブは、アリスの履歴棚のバージョンを 派生(リンク)してパーツを利用しています。アリスがパーツを変更しても、履歴棚は変わりませんので、ボブの作業机は変わりません。 アリスが、履歴棚に新しいバージョンを作成すると、新しいバージョンがあるという通知がボブに送られ、ボブは 手動指示をして 新しいバージョンに更新することができます。

ボブは、リンク(挿入)にチェックのある個人共有を設定してもらっているので、次のことができます。

ボブの作業机の<どこへ> アリスのバージョンの<何>を <どのコマンド>でリンクできる
PartStudio パーツ、サーフェス、スケッチ曲線、
平面など
派生(フィーチャー)
PartStudioのスケッチ 画像 「画像を挿入する」
アセンブリ パーツ、サーフェス、スケッチ
アセンブリ
「挿入する」
図面 パーツ、サーフェス、スケッチ
アセンブリ
「ビューの挿入」
図面 画像の挿入」
DXFなど 「DXFまたはDWGの挿入」
FeatureScript FeatureScriptタブ、画像など 「import」

どれを使っても、同じ部屋(ドキュメント)の同じ作業机からリンクすれば、変更は即座に反映されます。

同じ部屋(ドキュメント) 101号室の中でも、違う作業机(ブランチ)からのリンクは作れません。履歴棚のバージョンからリンクを作ることができます。同様に、ボブのように違う部屋へも 履歴棚のバージョンからリンクを作ります。
履歴棚のバージョンからのリンクは、自動では更新しません。

個人共有(編集可能)

アリスは、ボブの作りたいものがアリスとほとんど同じであると思いました。
ボブをこの部屋にさそって 一緒に作業をするのが 効率が良いと判断し、合鍵を渡すことにしました。 (この合鍵は「共有(編集可能)」と呼ばれます)

ボブは、合鍵があれば アリスが部屋にいない(サインインしていない)ときでも入室できます。作業机も 机の上のタブも増やすことができます。もちろん作業机での作業もアリスと同じようにできます。

共有の設定をすることなどの部屋の管理は、管理者と呼ばれるアリスにしかできません。 しかし、ボブは 作業机の上での作業は 自分の部屋と同じようにできるようになりました。 例えば、ボブの考えを試作するため アリスの部屋に ボブが主体となって作業する作業机を作ることもできます。

ボブは、自分の部屋に行くことが少なくなりましたが、Professionalプランのままです。
フリープランは、プライベートな部屋で作業(編集)ができません。

この話の 続きは

アリスの この物語はまだ続きます。

ボブは、アリスと共同で作業するようになり、Company を2人で運営するようになります。
やがて、それは Enterprise となり、
二人が作成した製品は、やがて完成してリリースして商品化されていきます。

でも、物語の第1章はここまでです。

仮想空間(=クラウド)とは何なのでしょうか?
Onshape は、従来の単なる CAD とは全く違う、製品設計/製造に必要な CADを含めた最適の環境を提供するものです。

あなたがいる実社会では、

  • あなたが住んでいる部屋は、数も大きさも有限です。
  • 作業する机は、もちろん有限です。
  • 仮想空間のタブのような領域はありません。
  • 実社会の合鍵は、仮想空間の共有よりずっと面倒です。

では、あなたの使っているパソコンは、どうでしょうか。

  • 机(デスクトップ)に 縦横に100個以上のアイコンが並んでいませんか?
    必要なものを探せますか?
  • 全部を入れた棚(マイコンピュータという名前?)から取り出して作業していますよね?
    終わったらちゃんと棚に返却(保存)しないと どうなりますか?
  • 定期的な棚のバックアップは 誰がやっていますか?
    いきなり電源が落ちたり、物理的な盗難、建物火災の危険は想定していますか?
  • 棚の大きさが不足したら、ハードディスク購入の稟議書を書きますか?
  • デスクトップを増やしたいときは、パソコン店へ行きますか?
  • Onshape の所有する仮想空間にある アリスの部屋は、アリスが 自由に拡張し、自由に作業机を並べて、自由に他の人と作業ができるから、アリスが所有者です。
    あなたの事務所やパソコンは、あなたの思い通りに使えていますか?
  • 受け取ったデータが、古いソフトウェアで開けなかった、という経験ありますか?
    3週間ごとにバージョンアップする Onshape 以上に新しいソフトウェアはありますか?
  • 取引先とのデータ交換は、Zip という袋に入れて、メール君というバイク便を使っていますね。
    Zip袋に 間違えて古いデータを入れないように注意が必要ですね。
  • 大きな設備が必要なら たくさん購入すれば良い。でも不要になったら、売却しますか?
    必要な人・物・道具が増減できますか?

この物語りが、皆さんのお役に立てることを願っています。

onshape物語.txt · 最終更新: 2022/01/29 22:05 by oda

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